ダーウィンの悪夢

タンザニアビクトリア湖で起きた環境破壊問題、そしてそれと複雑に関わる貧困、エイズ、武器輸出。あらゆる南北問題が凝縮されているビクトリア湖が描かれたフランスのドキュメンタリー。

ビクトリア湖に人工的に入れられた「ナイルパーチ」という魚。これは肉食魚で、なんとビクトリア湖にいた魚の95%を食べつくしてしまった。。。そしてこの湖のエコシステムは崩れ、ナイルパーチは自分たちの稚魚をも食しながら繁殖し続ける。

ナイルパーチは一時的な食料産業を誕生させた。漁業、加工、空輸に関わる人々、空輸飛行機のパイロットの愛人たち、研究所の守衛。ナイルパーチを元にたくさんの人が職を得る。
この雇用の創出は、貧困改善によさそうに見える。影の環境破壊さえなければいいのに。ナイルパーチ白身部分は輸出のために加工される。地元の人々はのこされた頭と骨、そこにかすかにのこる身を食べる。

インドネシアのエビ問題を思い出させる。
海外向けのエビを養殖するための池をつくる。マングローブ林の伐採。雇用が生まれる。輸出して外貨が入る。輸出基準をみたさなかったエビを地元の人々は食する。過剰養殖により土壌汚染が起きる。病気が流行るとその養殖池は使えなくなる。
その廃池を目にしたことがある。なんともいえない殺伐とした風景。さびしく胸が痛む。大好きなエビ、いつでも食べられるエビ。背後にこんな残骸があるなんて。

人間のつくりだすものが、どんな影響をおよぼすものなのか、いつなんどきも深く考えて行動をおこなさないといけないと思います。複雑なものごととのつながりを見ることのできる人間になりたいです。

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